ISO9001の2026年版、その規格の発行日が「2026年9月16日」に決まりました。今回は、ISO9001の新しい規格がいつ出て、何が変わるのかを、ひととおり説明します。
ISO9001:2026は2026年9月16日に発行
ISO9001は11年ぶりに改正されます。長らく「2026年に出る」と言われてきましたが、ついに具体的な日付が確定しました。2026年9月16日です。
この「9月16日」という日付は、どこから出てきたのでしょうか。根拠になっているのは、ISO、つまり国際標準化機構自身の発表です。ISOは公式のサイトや、LinkedInの投稿で、ISO/FDIS 9001、つまり最終の規格案が圧倒的な国際的支持をもって承認されたこと、そして規格が2026年9月16日に発行されること、これが第6版にあたることを明らかにしました。規格を作っている本人からの発表ですので、間違いない情報ですね。
そして、これを受けるかたちで、世界各国の認証機関も、いっせいに同じ日付で告知を出しています。ISO本体の発表と、複数の認証機関の告知が、そろって同じ日付を指しているわけですから、この9月16日という日付は、ちょっとやそっとじゃ動かないものとお考えいただいてよいと思います。
ISO9001:2026の移行期間は3年?
あわせて、新規格への移行期間についても触れておきましょう。現在ISO9001の認証をお持ちの組織には、新しい規格に切り替えるための移行期間が設けられます。近年のISOマネジメントシステム規格の改正と同じく、発行から3年、つまり2029年の9月ごろまでが移行期限になる見込みです。
ただし、こちらは正式には、IAF、国際認定フォーラムと各国の認定機関から、規格の発行と前後して正式に確定・公表されることになります。ですので、現時点では「3年が見込まれている」という受け止め方をしておいてください。
ISO9001:2026の主な変更点3つ
さて、2026年版では、何が変わるのでしょうか。ISOが公開しているファクトシート、これは規格の要点をまとめた公式の紹介資料ですが、ここでは大きく三つの変更点と、一つの新しい附属書があげられています。順番に見ていきましょう。
まず一つ目、「リスクと機会の明確な分離」です。2015年版では、リスクと機会は「リスク及び機会」とひとまとめに書かれていました。これが2026年版では、リスクへの取組みと、機会への取組みが、別々のものとして整理されます。実際、最終案では、箇条6.1でリスクを扱う部分と機会を扱う部分が分かれ、それぞれについて「決定し、分析し、評価する」ことが求められる形になりました。これまで、どうしてもリスク、つまり「悪いことを防ぐ」ほうに寄りがちだった取組みを、機会、つまり「よいことを伸ばす」ほうとバランスよく扱いましょう、というメッセージがありそうですね。
二つ目は、「品質文化、価値観、そして倫理的行動の強調」です。これが、今回の改正で一番新しい風が吹いているところかもしれません。「品質文化」とは、かんたんに言えば、その組織の中に根づいている、品質を大事にする空気や習慣のことです。倫理的行動とは、正しいことを行うということです。2026年版では、トップマネジメントの責任として「品質文化と倫理的行動を促進すること」が明記され、働く人が認識すべき事項にも「組織の品質文化と倫理的行動」が加わります。さらに、プロセスの環境について述べた箇所でも、社会的、心理的な要因が品質文化や倫理的行動から影響を受けうる、という説明が加えられています。
三つ目は「使いやすさの向上と、他のISOマネジメントシステム規格との整合の強化」です。ISO9001は、ISO14001やISO27001などといった他のマネジメントシステム規格と共通の構造を持っています。2026年版では、この共通部分の書きぶりがそろえられ、規格そのものが読みやすく、使いやすくなります。複数の規格を統合して運用している組織にとっては、ありがたい変更ですね。
そして、四つ目としてあげられているのが、「新しい附属書A」です。ここは、ぜひ押さえていただきたいところです。2026年版には、規格で使われている用語と、要求事項が何を意図しているのかを解説する、附属書Aが、2015年版よりもかなり充実します。附属書は、それ自体が要求事項ではなく、規格を正しく理解するための手引きにあたるものです。ねらいは、あいまいさや読み違いをなくすこと。ISOは、特にISO9001を初めて使う方や、中小企業にとって、規格がぐっと理解しやすくなる、と説明しています。
補足として、もう一点だけお話します。2024年に、ISOのマネジメントシステム規格に「気候変動」に関する追補が入りましたが、これも2026年版のISO9001に正式に取り込まれる見込みです。組織の状況を分析するときに、気候変動が関連する課題かどうかを判断することが求められますし、利害関係者が気候変動に関する要求を持つことがあるという注記に基づき、利害関係者のニーズ・期待を特定することが求められます。この二つは、引き続き規格に盛り込まれる見込みです。
最後に、ISOが公式に出したファクトシートには、「ISO9001:2026の認証は任意か?」という問いが投げかけられています。これに対しては「任意だ」と答えが書かれています。つまり認証は義務ではなく、自分たちのマネジメントシステムが規格の要求事項に適合していることを示すための手段であるということです。ISO9001の本来の価値は、あくまで組織の品質パフォーマンスを高め、顧客満足を追求していくところにあるという考え方は、2026年版になっても変わってなさそうです。
まとめ
はい、というわけで、今日はISO9001の2026年版、その規格発行日と変更のポイントについてお知らせをしてきましたが、いかがだったでしょうか。今日の動画をひとことでまとめると、ISO9001は2026年9月16日に発行、移行期間は3年の見込み。ということでした。そして中身のほうは、リスクと機会の分離、品質文化と倫理、他規格との整合。この三つを、まずは頭に入れておいていただければと思います。
いよいよ、来月には規格が発行されます。当社でも、発行後すぐに、新しいISO9001の解説セミナーを開催する予定です。準備が整いましたら、このサイトでもご案内しますので、楽しみにお待ちいただければと思います。
