ISO9001:2026 改訂・改定概要


ISO 9001 改訂(改定)(DIS公開中)最新情報と実務対応ガイド

※本ページは ISO/DIS 9001に基づく解説です。最終規格では内容が変更になる可能性があります。

表記について:本ページでは「改訂」と「改定」を同義で用いています(検索上の表記ゆれ対策)。

最新ステータス( 時点)

  • DIS 公開:2025-08-27
  • パブリックコメント(英国BSI):~2025-10-20
  • 発行見込み:2026年下半期(秋頃)
  • 移行期間:約3年(見込み)

ISO9001 改訂(改定)の背景とポイント要約

2023年夏に、ISO9001を改訂することが正式に決まりました。

前回の改訂からビジネス環境は大きく変わり、特にAIのような新しい技術が普及しています。さらにEUでは、2024年に施行されたAI規制法案の中で「品質マネジメントシステム」が求められるようになったように、技術の進歩に合わせて品質マネジメントシステムの役割も見直されつつあります。

また、2020年に行われた世界的なISO9001ユーザー調査で明らかになった課題を解決することも、改訂のもう一つの目的です。

ISO9001 改訂(改定)スケジュール(見込み)

  • DIS(国際標準草案):2025-08-27 公開
  • パブリックコメント(英国):~2025-10-20
  • FDIS(最終草案):2026年中盤 見込み
  • ISO 9001 新版の発行:2026年下半期(秋ごろ) 見込み
  • 移行期間:約3年(認証機関発表に準拠)

(ISO/DISベース)主な変更点の概要

箇条3. 用語・定義: 主要用語の取り扱いが整理され、関連文書への依存の明確化を意図。

箇条4. 組織の状況: 利害関係者ニーズの認識・反映がより具体化。

箇条5. リーダーシップ: 品質文化・倫理的行動の促進など、経営層の役割明確化。

箇条6. 計画: リスク・機会の取扱いが一層明瞭化。目的・指標・計画の連動を強化。

箇条7. 支援: 能力・認識・組織の知識の運用強化(教育とナレッジの循環)。

箇条8. 運用: 顧客コミュニケーションや外部提供者管理の具体性向上。

箇条9. パフォーマンス評価: 内部監査・マネジメントレビューのインプット明確化。

箇条10. 改善: 構成・表現の整理のみ。

補足: ISO 9001:2015/Amd 1:2024 により、4.1/4.2に「気候変動の考慮」が追加されましたが、これもDISに織り込まれています。

ISO9001 改訂(改定)に向けた移行実務ステップ

  1. ギャップ分析:現状のマネジメントシステムと新しい規格の差を確認します。
  2. システム・文書類の更新:手順書、マニュアル、記録類を、新しい規格に合わせて修正します。あわせて、運用方法も見直します。
  3. 教育・訓練:社員向けに新しい規格・新しい運用方法に対応するためのトレーニングを実施します。
  4. 内部監査とMRの実施:内部監査を行い、新しい規格にそった運用が実行できているかを確認します。
  5. 外部監査の受審:移行審査を受けます。審査で不適合等がなければ(あっても是正されれば)、新しい規格での認証書が発行されます。
見直しが必要かもしれない文書(参考例)
  • 4.2:利害関係者のニーズ・期待の整理記録・手順
  • 5.1:品質方針
  • 6.1.2:リスクマネジメント手順・評価基準・リスク登録票
  • 6.1.3:機会管理手順・評価基準・機会登録票
  • 6.3:マネジメントシステム変更管理手順・影響評価表
  • 7.1.6:組織の知識管理手順・組織の知識活用の証拠
  • 7.3:品質文化・倫理的行動の教育周知計画・教材
  • 8.2.1:顧客コミュニケーション手順
  • 8.2.3.2:受注レビュー結果記録様式
  • 8.2.4:変更通知手順・配布先リスト
  • 8.4.3:供給者コンタクト一覧
  • 9.2.2:内部監査計画書
  • 9.3:マネジメントレビュー議事録

FAQ:よくある質問

正式発行はいつ?

2026年下半期(秋ごろ)見込み。DIS段階のため前後する可能性があります。

移行期間は?

一般に約3年が見込まれます。

いつからISO9001改訂(改定)の準備をすればいいですか?

規格の正式発行後からでも遅くはありませんが、DISの内容を参考にして運用を見直すことは、現在の運用レベルの改善にもつながりますので、はやめの準備をおすすめします。

ISO9001の改訂(改定)にコンサルタントは必要ですか?

自社でも対応可能ですが、時間や人的リソースが限られている場合は、コンサルタントの支援が有効です。特に、ギャップ分析や内部監査の支援を受けると、移行がスムーズに進みます。

「改訂」と「改定」の違いは?

一般的な日本語の用法では、どちらも「内容を改める」意味で使われます。出版物では「改訂」と書かれることが多い一方、制度や規格の更新でも両表記が見られます。本ページでは同義として扱っています。

監修・著者 / 更新履歴

監修:ISO9001審査員 中小企業診断士 今村敦剛/株式会社マネジメントオフィスいまむら

初版: / 最終更新:

更新履歴を開く
  • 2025-09-20:ISO9001改訂(改定)に向けた移行実務ステップ、FAQ更新。
  • 2025-09-10:DIS公開に関する情報を追記。
  • 2024-11-22:初版公開。


最終更新: